学校日記

駅で見掛けたOne Team 〜ある主婦の話より〜

公開日
2020/06/09
更新日
2020/06/15

校長室より

 平日の午後3時過ぎ。私は,電車に乗っていた。車内はほどよく空いている。私の向かいの席にはベビーカーを持った母親と彼女に抱かれた赤ちゃん,そして同じ車両には,他に5人の高校生がいた。
 男子生徒3人,女子生徒が2人。同じ制服を着ていて,どうやら友達同士の様子。
 しかし,みんな自分のスマートフォンを眺めていて,熱心に会話をしている様子はない。
 「今の子は,友達同士でいる時もマイペースなんだな・・・」などと思っているうちに,目的の駅に到着。
 私と親子連れ,そして高校生たちが下車し,出口へと歩き出す。
 ところが,その日は駅構内のエレベーターが使えなかった。ベビーカーを押した母親は,『点検中』と書かれた張り紙の前で,一瞬困ったように立ち止まってから,階段に向かった。
 その時,私の横を一陣の風が通り抜けていった。
 後ろを歩いていた高校生たちが走って私を追い越し,ベビーカーの母親に声を掛けたのだ。
 「ベビーカー,持ちますね」「お母さんは,赤ちゃんを抱いてください!」「荷物は私が持ちます!」
 5人の高校生たちは,その場でさっと手分けして,親子が階段を使うのを助けた。
 電車の中では互いにマイペースを貫いていたのに,驚くほど息がピッタリである。まさに,One Team。

 みなさんは,このお話を聞いて,どの様に感じられたでしょうか。
 何かと悪い面で色々と言われてしまう傾向が強い若者世代ではありますが,その様な言動がとれた高校生の姿から,「相手を思いやる気持ち」と「躊躇なく働きかける勇気」を改めて教えられました。